LaTeXを実行する
レッスン2で述べたように、LaTeX文書は単純なプレーンテキストです。そのことを確かめるために「はじめてのLaTeX文書」をWindowsの「メモ帳」などのシンプルなテキストエディタで開いてみましょう。そうすると、LaTeX用のエディタで見たのとまったく同じテキストを、一切のキーワードハイライトなしに見ることができるでしょう。
また、こうしたLaTeX文書はエディタを使用しなくてもPDFに変換することができます。それにはいわゆるコマンドプロンプト(またの名をターミナル)を使用することになります。もしこうしたものに慣れていないようであれば、以下のことは試さなくても構いません。もしコマンドプロンプトに馴染みがあるようであれば、.tex
ファイルのあるディレクトリ(フォルダ)に移動して以下を実行してみましょう:
ptex2pdf first
または
ptex2pdf first.tex
これによりPDFが生成されます。ここで拡張子.tex
は省略可能であることに注意してください。LaTeXは特に拡張子を指定しない限り、ファイル名には.tex
が付くものとして解釈します。
日本語LaTeX特有の事情:DVIを経由するワークフロー
日本語に適したLaTeXエンジンのいくつか(本チュートリアルで採用しているpLaTeXやupLaTeX)は、PDFを直接生成することができず、DVIという別形式を出力します。このDVIを、さらにDVIウェアdvipdfmxで変換することで最終的なPDFが得られます。上記のptex2pdf
は、pTeXとdvipdfmxの実行を自動的に行うツールです。
日本語LaTeXに関する詳しい説明は付録レッスンも参照してください。
特殊文字
もしLaTeXの特殊文字をPDFに出力する必要があるとき、多くの場合は単純にその記号の前にバックスラッシュを付けるだけで所望の結果を得ることができます。例えば{
を印字したい場合は\{
のようにします。ただしいくつかより長い名前を持つコマンドを使用しなければならない場合もあります。
記号 | 短いコマンド (テキスト・数式) | 長いコマンド (テキスト専用) |
---|---|---|
{ | \{ | \textbraceleft |
} | \} | \textbraceright |
$ | \$ | \textdollar |
% | \% | |
& | \& | |
# | \# | |
_ | \_ | \textunderscore |
\ | \textbackslash | |
^ | \textasciicircum | |
~ | \textasciitilde |
最後の3つの記号については短いコマンドは用意されていません。なぜなら\\
は強制改行を作るコマンドで、残る\~
と\^
はそれぞれ対応するアクセント記号をASCII記号のみで出力できるようにするためのコマンドになっているからです。